「気候変動」から「気候危機」へ
「SDGs100人カイギ」は、こども国連環境会議推進協会(JUNEC)と大日本印刷株式会社、丸善雄松堂株式会社が共同で企画・進行するプロジェクトです。2030年までに本気で世界を「変える」ことを目標として、さまざまな活動をしている「100人の話」を起点に、クロスジャンルで、ゆるやかな人のつながりを生むイベントを開催しています。
3月31日、第16回目として「世界を変える、気候危機への挑戦。」をテーマにオンラインイベントを開催しました。気候危機問題へのアクションを第一線で実践する4名(WWFジャパン気候・エネルギーグループ非国家アクタープロジェクト担当の当田中健さん、一般社団法人地球温暖化防止全国ネット企画・広報グループの井原妙さん、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社プリンシパル・サステナビリティ・ストラテジストの吉高まりさん、オフィス気象キャスター株式会社代表取締役の岩谷忠幸さん)にご登壇いただき、気候危機の現状や気候危機を学ぶためのツール、ESG投資と気候変動のつながりなどについて、具体的な取り組みとともにご紹介いただきました。
一人一人の危機意識の重要性を改めて認識する
まず、田中さんより、「2050年温室効果ガス排出ゼロ」宣言に関して、2011年よりWWFジャパンが作成・アップデートしている、「2050年までに自然エネルギー100%」を日本で実現する「エネルギーシナリオ」についての紹介がされました。皆で協力して進めていけば脱炭素社会は実現可能であり、そのためには一人一人が声を上げていくことが重要であることが示されました。
次に、井原さんより、地球温暖化防止全国ネット(JCCCA)で取り組んでいる、気候危機に関する図表・写真などの無償提供や地域の活動支援、気候危機啓蒙のためのプログラム開発・貸出し、脱炭素社会の実現のためのチャレンジカップについて、一人一人が気候危機をどう認識していくかを地に足をつけて考え、実行されている様子をお話しいただきました。
そして、吉高さんより、企業の気候危機への取り組みの重要性についての提起がありました。気候危機は企業の存続を脅かすであろうことが世界でも認識され始め、またESG投資として、財務以外の指標で企業価値を評価する動きが進んでいる中、日本でも各紙で同様のキーワードが頻出していることが紹介されました。そして、経営トップが、自社においてこの気候危機にどう手を打つのかを宣言していくことが肝要になってくるとの力強い示唆もいただきました。
最後に、岩谷さんからは、記録的な早さであった2021年の桜の開花や大規模化かつ甚大化する気象災害、40度を超える気温上昇など、衝撃的な映像の数々を交えながら、気候危機の実態についてのレビューが行われました。また、抑えることだけでなく適応していくために備えるべきことについての示唆もあり、改めて危機意識の重要さを認識する時間となりました。
「気候変動」から「気候危機」へと社会の注目度も増す中、人びとへの気候危機についての啓蒙や社会を動かすための取り組み、またESG投資などを通して企業においてもいっそうの取り組みが必要になってくることを、多様な視点から学ぶ機会になりました。
イベントの最後はグラフィックレコーディングでイベントを振り返り
まなびを広げるブックセッション
丸善雄松堂が主催する「知とまなびのイベント」では、各回のおわりにその日のイベントテーマに合わせて選書した本をブックセッションの形でご紹介しています。当社オリジナルの選書で、これまでに経験したことのない本との新たな出会いをお楽しみください。
「SDGs100人カイギ Vol.16 世界を変える、ジェンダー平等の挑戦。」ブックセッションより
まなびの世界が楽しくなる「知とまなびのイベント」
丸善雄松堂では、年間を通して多彩なテーマで「知とまなびのイベント」を開催しています。これまで知らなかったことに「出会う」こと。その出会いが「もっと学びたい」という気持ちにつながること——皆さんの好きや興味、関心、好奇心などを喚起し、まなびの世界が楽しくなるようなひと時をお届けします。
■「知とまなびのイベント」 https://peatix.com/group/57084
1869年の創業以来「知とまなび」に寄り添い続ける丸善雄松堂株式会社が主催するイベント。リアル/オンラインに関わらず、幅広い世代が集う多様なまなびの機会の中で多様な価値観が出会い、新しい価値を生み出す場づくりを目指し、環境・コミュニケーション・働き方・芸術ほか多彩なテーマで通年開催。