2021年06月06日
[LEARN 02]
第一回丸善夜学会卒業式
創業時より丸善には好奇心の強い従業員が多く集まっており、営業を終えたあとの店内では自主的にローマ字や算術の勉強会が開かれることも少なくなかった。
1905年頃から、丸善は正式に「夜学」を開始した。教室は、従業員のために建てられた木造三階建ての寄宿舎の四号室。先生には東京帝国大学の学生二人を招いた。畳敷きの上に食卓を並べ机代わりにして勉強するスタイルは、当時の寺子屋式家塾そのままだったという。ポストグラジュエート・コースも設け、優秀な生徒を選抜して英語学校・商業学校の夜間部に通学させることもあった。
その後1911年には学校組織として制度を改め「丸善夜学会」「丸善夜学校」「丸善商業学校」となった。学校は三年制で、英語を中心に数学、和漢文、倫理、簿記などの教科を設けていた。優秀だが充分な教育を受けられる環境にない少年が「夜学校に通いたい」と、丸善に見習生として入社することも多かったという。
これは現代における「社員研修制度」のはしりといえる。多くの学ぶ人を支えた丸善は、従業員自らの学びも大切にすることで成長してきたのだ。
1905年(明治38年)