2021年08月15日
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余暇を楽しむための需要が増えた大正から昭和にかけ、丸善はレジャーやスポーツに関する用具やガイドブックを相当数仕入れていた。そのなかには高級ゴルフ用具も含まれていた。ゴルフはまだ、ごく一部の有閑階級のみが楽しめるスポーツだったが、外国人や富裕層を顧客にもつ丸善は、相当早い時期に輸入を始めていた。
戦中・戦後はしばらく輸入が途絶えたものの、1952年に輸入の許可が出ると、丸善はすぐにゴルフ用品の輸入を再開。翌年には大量のゴルフクラブを発注した。社内でも時期尚早ではないかと心配の声が上がったが、その心配は無用なほど、急速にゴルフは広まっていった。
そして1954年、日本橋の本社屋上に「丸善ゴルファーズ・センター」をオープン。また都内に広い練習場がほとんどない時期に、便利な場所に大きなグリーンを設け、人気を博した。日本ゴルフ協会の理事長以下、錚々たるメンバーが相談役に名を連ね、いまも日本のスポーツ史に名を残す林由朗など、有名プロ七人が曜日ごとにレッスンを担当した。丸善は日本のゴルフブームの火つけ役でもあった。
1954年(昭和29年)