丸善雄松堂

連載

2021年08月29日

文芸誌『白樺』と二人三脚 ~芸術を輸入し、作家を支援~

[CULTIVATE 14]

『白樺』創刊号の巻頭

武者小路実篤や志賀直哉らが創刊した文芸誌・美術誌、『白樺』。1910年の創刊以降、この雑誌を中心に白樺派の活動は展開され、1923年の廃刊にいたるまで日本文学に大きな影響を及ぼしていた。丸善はその活動を裏方で長きに渡りサポートしていた。

西洋の文学や美術情報を欲していた彼らは頻繁に丸善に通い、トルストイなどの文学や、美術カタログを取り寄せていた。当時印象派の絵画に興味をもっていた武者小路実篤はドイツから書籍を取り寄せた際、その口絵でゴッホの作品を知ったという。武者小路は丸善からゴッホの複製をいくつも注文し、次第にゴッホのみならずセザンヌやルノアールを論じていくようになった。

白樺派の面々から「初っさん」と呼ばれた丸善の店員・福本初太郎は、注文係として親交を深め、ときには『白樺』の編集会議に引っ張り出されることもあったという。『白樺』が毎号新しい美術を紹介するのと示し合わせて、丸善も新たな書籍や美術カタログを店頭に並べるという関係性ができていた。

1910年(明治43年)

執筆者

まなびのつながり編集部

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