丸善雄松堂

連載

2021年09月19日

万年筆の普及 ~「知を記し伝えるスタイル」をつくる~

[STYLE 17]

カウスのスタイログラフィックペンの広告

丸善が万年筆を日本で初めて海外から取り寄せたのは、1884年頃のことだった。当時「スタイログラフィックペン」という名で輸入された商品の売り出しに力を入れた丸善の店員・金澤井吉の通称が「万吉」だったことから「万さんペン」と呼ばれるようになり、転じて「万年筆」と名づけられたという説もある。以後、数々のブランドの万年筆を紹介したが、イギリス製の「オノト万年筆」は、晩年の夏目漱石も愛用したとされる売れ筋商品で、一日に百本以上売れることもあったという。

その後、丸善は万年筆の国産化に挑戦。苦心の末、社外の技術者と共同で製造した「丸善アテナ万年筆」を1925年頃から販売。「ペンを持つ人皆アテネ」という広告コピーとともにたちまち普及し、のちに自社工場で生産を開始した。

はじめは海外の新しくて便利なスタイルを紹介したいがゆえに輸入された万年筆であったが、やがて日本人の筆記文化において欠かせない存在になっていた。

1884年(明治17年)

執筆者

まなびのつながり編集部

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