丸善雄松堂

連載

2021年10月03日

「文化」から紐解かれた香水 ~匂いの展覧会を開催~

[STYLE 19]

匂ひの展覧会の様子

丸善は創業間もない頃から香水の輸入販売を行なっており、大正期に入る頃には取り扱う種類も非常に多くなっていた。紳士淑女のエチケットとして香水を普及させようとしたものの、高価なものも少なくない。そこで丸善は、香水の背後にある奥深い「知」の世界を紹介しようと考えたのである。

1933年に丸善が開催した「匂ひの展覧会」は、まさに香水がもつ豊かな文化を伝える場となった。フランスの香水製造会社から十五社を選び、その代表品を出品するとともに、明治以来日本に輸入された歴史的な香水として、おいらん香水、豚香水、シクラメン香水なとを蒐集し、香風や用途、エピソードを記した説明書を添えて展示。香料の基本種類をドレミの音階にあてはめ、香りの調和を音符で示し一目瞭然にするといったユニークな企画も行なった。展覧会の際につくられた『匂ひの話』というパンフレットでは、匂いと人間のかかわりをその起源から語り、伽羅香木やキリスト教、ユダヤ教などさまざまな宗教における匂いのあり方についても解説。香水を歴史や文化から紹介して好評を得た。

1933年(昭和8年)

執筆者

まなびのつながり編集部

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