2021年10月31日
[INTRODUCE 23]
丸善が携わった大学向け専門書籍のなかで、ここ三十年で最も反響があったといわれるのが丸善百二十周年企画のひとつとして1987年に刊行された『ザ・ニュー・パルグレイヴ経済学辞典』。「経済学の最重要レファレンス」と言われるようになったこの辞典のヒットには、丸善の社員がもつ「学びの現場で得た実感値」が関係している。
丸善は、当時日本経済がバブルへ移行するなか、経済学に関する総合的な知識が必要とされていると感じていた。そこで、かねてより親交の深いイギリスの名門出版社「マクミラン」へ経済学の大型本企画を持ち込み、制作が実現。ノーベル賞受賞者十二名を含む経済学者九百名が執筆に参加し、まさに集大成といえる辞典が完成した。日本では丸善の専売だったこの本は、一セット十万円以上するにもかかわらず千セットも売れる大ヒットになったという。時代が求める情報をいち早く察知し、ときには出版社に企画を持ちこみ、世に送り出す。これも丸善の大切な役割のひとつだ。
1987年(昭和62年)