2021年11月07日
[INTRODUCE 24]
松岡正剛がプロデュースした「松丸本舗」
2009年から2012年まで丸善丸の内本店四階に設けられた実験的書店空間「松丸本舗」。編集工学研究所の松岡正剛と丸善の共同開発プロジェクトとして始動したこの書店は、ジャンルや著者別ではない文脈的な本の陳列方法や、松本清張や隈研吾、山口智子など各界の愛読家たちの本棚を再現するコーナーが話題となり、多くの本好きに熱い支持を受けた。
「本はもっと遊びたがっている」というコピーが示すとおり、松丸本舗では約五万冊の書籍が松岡の脳内を再現するかのごとく、自由自在かつ縦横無尽に並べられていた。松岡のオーダーに応えて丸善が制作した特注の本棚は、意味や文脈を固定されないままに様相を変え続ける有機的な本のあり方を表現し、約六十五坪というわずかな面積ながら「知の迷宮」とも呼べる空間がつくり上げられた。三年という短い期間だったが、知の連環を本と棚で表現した松丸本舗のスタイルは、後続の書店に影響を及ぼした。
2009年(平成21年)