丸善雄松堂

連載

2021年11月14日

グーテンベルク「四十二行聖書」の落札 ~美しい書物をアジアで受け継ぐために~

[SUCCEED 25]

丸善主催の展示会時のカタログ

世界にたった四十八冊しか残っていない最古の活版印刷物として知られるグーテンベルクの「四十二行聖書」。1987年10月22日、ニューヨークの「クリスティーズ」で行われたオークションで、丸善は世界中の団体・個人との熾烈な入札争いの末、この書物を落札した。

落札額は、活版印刷物の取引としては過去最高額(当時)の490万ドル。手数料を含めると、支払額は日本円で当時7億8,000万円にも及んだ。

この落札はテレビのニュースでも話題になり、その後、展覧会などでも一般に広く公開された。丸善の「人類の文化遺産」を受け継いでいくことへの情熱と責任感が、この素晴らしい書物をアジアで初めて所有し、その価値と美しさを多くの人に届けることを可能にしたのだ。

1996年、「四十二行聖書」は丸善から慶應義塾大学へと渡り、現在は同大学が保有している。人類の歴史のなかで、この「知の遺産」のバトンを受け渡す役割を丸善が担ったことは、いまでも従業員の誇りだ。

1987年(昭和62年)

執筆者

まなびのつながり編集部

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