2021年11月21日
[SUCCEED 26]
1989年、国立国会図書館に収蔵された明治時代の図書刊行物計十六万冊を、マイクロフィルムで撮影し保存する国家プロジェクトが始まった。丸善は、創業百二十周年記念の文化事業の一環として、この一大プロジェクトに取り組んだ。監修者には、梅原猛、福井謙一、京極純一の三名を迎え、国内外の錚々たる研究者から賛同を得た。
明治期の資料の多くは酸性紙を利用していたため劣化が加速しており、保存対策は急務だった。丸善はマイクロ撮影に際して、対象資料の調査・研究を重ね、専用カメラとフィルムの開発、工程管理システムの構築も行なった。1991年まで二年をかけてすべての資料のマイクロ化が完了。これによって、貴重資料の原本の永久保存と、閲覧・利用サービスの向上が同時に可能になったのだ。
マイクロ化した資料は商品化され、日本近代史研究の第一級資料として、国内外の大学に購入された。特に海外の研究者からは「日本に行っても、これだけの資料がこんなに簡単に手に入るなんて、あり得なかった」と驚きをもって歓迎された。
1989年(平成元年)