丸善雄松堂

連載

2021年12月26日

戦後、洋書輸入の道を開く ~戦後日本のための輸入ルート開拓~

[DELIVER 31]

第一回英国書展覧会の様子

第二次世界大戦の開戦以降、欧米からの洋書輸入はほぼ途絶えていた。これまで欧米の文化を輸入してきた丸善は、一刻も早く洋書輸入を再開しなければならないと考えていた。

終戦直後の1945年9月、GHQが日比谷に本部を構えると、丸善は一週間後には従業員を派遣して書籍輸入を陳情したという。その後も何度も連絡をとり、粘り強く交渉。並行して英仏大使館へかけあうほか、米国出版界の人々とも協議を継続。国内では出版業界を巻き込んで海外出版物輸入協会(現・日本洋書協会)を率い、学者や知識人、財界への支援要請も頻繁に行なった。さらには輸入再開に備え、途絶えていた洋書目録の整備も開始。洋書を再び人々に届けるべく、丸善は全力で取り組んだ。

その結果、徐々に輸入の道は開かれていき、終戦からわずか四年で「第一回英国書展覧会」「新刊フランス書展」の開催にこぎつけた。戦後日本の急速な復興を、陰で支えた多くの人々。丸善の従業員も間違いなく、その一員だった。

1949年(昭和24年)

執筆者

まなびのつながり編集部

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