2022年01月09日
[SYSTEMIZE 33]
書店が在庫の管理を行なうために書籍に挟まれる「スリップ」。いまでも書店には欠かせないこのカードを発明したのは、丸善の店員だった。1912年に在庫管理を担当していた斎藤哲郎こそがその人である。
在庫目録の制作を命じられた斎藤は、商品管理の杜撰さに衝撃を受ける。台帳は上司の頭の中にあるだけ、斎藤が目を離したすきに売れた本を新入りが帳簿に付け忘れることも日常茶飯事。ミスが重なっていくうちに、目録は実際の在庫と大きくズレたものになっていた。
困った斎藤は、入荷日や部数を記録した書籍カード=スリップを書籍にはさみこむことを思いついたのだという。本が売れたときにこのカードを引き抜いておけば、複数の店員が販売にあたっても簡単に在庫の管理ができる。その後スリップは1915~16年に現在の形となり、百年後の現在も残っている。丸善社員のひらめきがまったく新しい仕組みをつくり出し、書店の業務を支えてきたのだ。
1912年(大正元年)