2022年01月30日
[SYSTEMIZE36]
コンラッド・ゲスナー
「目録」や「書誌」は情報を整理し体系立てていくうえで非常に重要なものであり、その編纂には途方もない労力を要する。しかし、その苦労に比して、目録や書誌が人々から注目される機会は非常に少ない。かねてより自社でも目録の編纂を行なっていた雄松堂書店は、この知られざる知的営為を正当に評価する場が必要だと感じていた。
そこで雄松堂書店の創業六十五年を記念し1997年に開始したのが、優れた目録と書誌を評価する「ゲスナー賞」である。近代書誌学の父、コンラッド・ゲスナーの名を冠したこの賞は、日本と海外の知を結ぶべく熱意をもってつくられた作品に賞をあたえ、丸善雄松堂となってからもこの賞を継続している。
丸善と雄松堂書店は長きにわたって世界の知を日本に届けてきた。目録と書誌の作成という、知を下支えしていく、いわば「裏方作業」にスポットをあてたゲスナー賞は、まさに丸善雄松堂の知に対する姿勢を象徴するものだろう。
1997年(平成9年)