2022年03月06日
[MODELIZE 41]
ロンドンタイムズジャパンの新聞全面広告
1902年、丸善は日本で初めて『ブリタニカ(大英百科全書)』の月賦販売を始めた。万物の知を集める百科事典は、丸善にとって大切な商品のひとつだったが非常に高価だったため一般の人々が手に取れるような値段ではなかった。
そこで丸善は、総額を分割し前金五円を払ったうえで毎月十円ずつ支払う販売方法を導入した。当時二円の本が五百部売れると成功とされていたが、新聞に全面広告を掲載し広くアピールしたことで、それより遥かに高級なブリタニカも五百部以上の売り上げを記録したという。
丸善は常に「知」を一部の特権階級だけでなく、あまねく人々に届けようとしてきた。だからこそ高価な百科事典も、人々が手にしやすい販売方法を取り入れたのである。人類の知を多くの人に届けることと、同時に経済的に成立するビジネスモデルを考え出すこと。一見相反するミッションを成功させるためなら新たなモデルを創造してしまう姿勢に、丸善らしさが宿っている。
1902年(明治35年)