2022年04月10日
[ORGANIZE 46]
中西屋の店構え
明治期より丸善は、新品だけでなく「古本」の販売も行なっていた。しかも、別の名前を使って。1881年、丸善では著しく増加した洋書のストック処理が課題となっていた。そこで早矢仕有的は売れ行きの少ない商品の販売とともに、かねてより顧客から相談されていた不要本の買い取りと再販売も決意。古物商としての業務となるため古本屋を買収し、個人名義の商店として「中西屋」をオープンした。
当時「中西屋」には、「掃葉軒」つまり「落ち葉(売れ残りや不要になった書物)を一掃する」という大胆な別称がつけられていた。学生の書籍需要を狙って神田に開いたことで、丸善のみならず中西屋の固定顧客も増加したという。
「丸善」として進めることが難しいなら、名義を分けてしまえばよい。必ずしも丸善の事業だけが「丸善」をつくってきたわけではないのだ。ときには丸善というブランドにさえ執着せずに事業を展開するほどのドラスティックかつ軽快な姿勢が、丸善をここまで長続きさせてきたのかもしれない。
1881年(明治14年)