丸善雄松堂

2022年06月20日

第2回  国語教育と文学の現在

 

紅野 謙介氏(日本大学文理学部 教授・学部長)

日時: 2019.5/17(金) 18:30〜20:00
会場:日比谷図書文化館 B1F 大ホール
定員:200名(参加無料)

かつて「国語」の授業でいろいろな詩歌や小説に出会う時代があった。あるいは評論を読むことを通して世界について考え、思索する言葉を学んだ。「読む」ことを通して世界をひろげ、共感能力を高めることで、さまざまな言葉に触れ、自分の言葉も紡がれていく。もちろん、それだけでもいけないが、いま「国語」教育に訪れている危機と、現在、求められている「ことばと文学」の可能性について考える。

講演会チラシ[PDF:1640KB]

講演会レポート

戦後最大の教育改革が進む中、新しい時代に必要となる資質・能力の育成ということが言われています。新学習指導要領などから国語教育の現在と訪れている危機や、国語教育の持つ意義についてお話いただきました。
講演の後半では、教材のサンプルとして『銀の匙』が取り上げられました。会場は約 100年前の『銀の匙』の作品世界に引き込まれ、「読む」ことによって育まれる豊かな思索や情報を読み解く体験を通じて、不透明な現代だからこそ不明確さに耐える姿勢が必要とされていることや「ことばと文学」の大きな可能性を実感しました。

参加者の声

現在の国語教育においていかに実用性や明確性が重視されているかについては、その実態を知らずにいただけに若干の驚きと共に拝聴しました。個人的には後半の「銀の匙」読解が秀逸で、私は講演後すぐに購入し読みました。ともすれば忘れがちな文学教育の重要性を改めて実感した次第です。非常に説得力のある講演でした。(50代)

「国語」はすべての教科学習において根幹となる力を育てる、最も中心的な教科と認識していたが、今どのような変革が起きようとしているのかがわかった。実用的な方向に大きく傾斜しそうだが、失うものも大きそうだ。講演で採り上げられた中 勘助『銀の匙』を一気読みした。近在の書店で『銀の匙』が品薄になったことだろう。(40代)

「国語」はすべての教科学習において根幹となる力を育てる、最も中心的な教科と認識していたが、今どのような変革が起きようとしているのかがわかった。実用的な方向に大きく傾斜しそうだが、失うものも大きそうだ。講演で採り上げられた中 勘助『銀の匙』を一気読みした。近在の書店で『銀の匙』が品薄になったことだろう。(40代)

※ご本人の許可を得て掲載しております

まなびのカード

当日ご参加のみなさまから、講演を聞いて考えたこと、感じたことをぎゅっと一言につめこんでいただきました。


執筆者

まなびのつながり編集部

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