丸善雄松堂

2022年10月31日

第10回 小説とは何か?

 

磯﨑 憲一郎氏(小説家、東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授)

日時:2020.1/29(水) 18:30〜20:30
会場:日比谷図書文化館 B1F 大ホール
定員:200名(参加無料)

小説とは、文字で書かれた伝達手段でありながら新聞記事や論文とは異なる、また、一般に理解されているような物語(ストーリー)でも、作者が込めたメッセージや教訓でもない。「文学作品は難解なもの、高尚なもの」といった権威主義的な小説観を取り払い、実作者=日々小説を書いている一人の人間の視点から、「そもそも小説とは、いったい何なのか?」という問題を、小説の起源から現代文学にまで触れつつ、考えてみたい。

講演会チラシ[PDF:3811KB]

講演会レポート

人生において正式な文学教育を受けておらず、アカデミックなバックグラウンドを持たない小説家である“磯﨑憲一郎”という人間が、先輩小説家との出会いや他者としての娘の出生によって価値観が変容し、小説家としての道を歩むまでの軌跡を辿り、実作者として実感する「小説とは何か?」についてお話しいただきました。
その中では、人類史上初の小説(散文作品/散文芸術)とされるホメロスとその作品を出発点に小説の長い歴史を物書きの目線から振り返り、そこから導き出された「小説でなければできない表現を始めた時代の小説家」として、1920年代の小説家を題材に、その作品や表現技法などをご紹介いただきました。

参加者の声

1920年前後に書かれた傑作に現代小説への鍵があること、描写のもつ具体性が小説の生命線であることが磯﨑先生の熱のこもったお話でわかりました。また、先生による名作の解説がそのまま先生の作品の魅力の解説にもなっていると感じました。カフカの『変身』『城』については若干触れられましたが、個人的にはもっとカフカの作品の評価についてお聞きしたいところでした。(50代)

まるで次々とページを捲るように磯崎先生が紐解く名著名作の世界に引き込まれました。読んだことのない作品には今からでも触れたくなり、かつて親しんだ作品にも、また違った味わいを今なら改めて感じられるのでは、と予感しワクワクする2時間半を過ごしました。(30代)

小説家らしい「作り手」の視点から人類の表現の歴史がダイナミックになぞられ、大変興味深かった。創作という行為が、世界のあらゆる場所で、誠実な自然描写から始まり、矛盾する表現を越えて、言葉では言いあらわしがたいものの発見へと至るのだ、ということを改めて感じることができた。まさに人類が表現することの動機を理解できる楽しい時間だった。(40代)

※ご本人の許可を得て掲載しております

まなびのカード

当日ご参加のみなさまから、講演を聞いて考えたこと、感じたことをぎゅっと一言につめこんでいただきました。


執筆者

まなびのつながり編集部

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