丸善雄松堂

2022年01月14日

特別展示販売「ファッションの文化史」(11/26~12/26)

 

丸善・日本橋店3F内にある古書・貴重書専門店ワールド・アンティーク・ブック・プラザ(WABP)にて、特別展示販売「ファッション文化史」(2021年11月26日~12月26日)を開催いたしました。

今回は服飾図版や写真を収録した書籍・雑誌や店舗・工場の生地見本帳を中心とする、近代から現代にいたる欧米の服飾文化を幅広く知ることのできる資料を取り揃えました。加えてアンティーク、ヴィンテージの装飾品を集め、歴史を感じさせる空間を心掛けました。

ファッション・ブックの黎明と発展

1830年代に入り、印刷技術の発展や教育の普及によって出版メディアが成長し、ファッション・ブックの創刊が相次ぎました。これらの情報は、鉄道の開設にともなって、モードの中心地パリからヨーロッパ各地へ拡散しました。産業革命の進展により市民層が拡大すると、ファッション・ブックは、上流階級や富裕市民向けの上品なものから、ゴシップ記事等も盛り込んだ中流階級向けのものまで刊行され、多様化していきました。

市民にとっての服装は、自分が市民階級に属し、かつその中のどの階層に位置するかを示す重要な役割を持っています。男性の衣装が画一化を強めたのに対し、女性の衣装は、流行に従いながら、その中で様々なバリエーションをみせ、華やかさを競いました。1850年代からデパートが登場し、既製服産業が浸透する一方で、高度な仕立ての技術を芸術の域に高めたオートクチュールが誕生します。モード産業の基盤が整う中で、ファッションの情報はますます重要になりました。

全盛期のファッション・ブックには、手彩色版画による軽やかでエレガントな女性像に、モード産業の思惑や市民の欲望が絡み合い、ファッションという現象の妙味が凝縮されています。

服飾文化の広がりに触れ、ファッションの変遷を辿る

店内入ると「ガゼット・デュ・ボン・トン」の刊行で知られるルシアン・ヴォーゲル(1886-1954)の編集によって第一次世界大戦の最中にパリで出版された月刊ファッション雑誌「ル・スティル・パリジャン」全7号1915年~16年(非常に稀な完揃い)から始まり、アール・デコの代表的ファッション誌「アール・グー・ボーテ」(分売)、「ル・グ・ドゥ・ジュール」全13号(完揃い) 限定1432部の第52番、「靴のデザイン原画集」 オリジナル・デザイン画985点、「フランス製ジャカード織布地見本帳」1863年、手彩色版画によるエレガントな女性のファッション画、ポショワール版画のファッション画、年代物のファッション雑誌VOGUEなどの貴重な資料が中央のテーブルや棚、ガラスケースに多数並べてあります。

アンティーク、ヴィンテージであなただけのお洒落を!

「ファッション文化史」のイベントに因んで今回は、アンティークジュエリー、1920年代~70年代のレディース時計、コスチュームジュエリー、ヴィンテージボタン、テーブルクロス、ガラスクリスマスツリー、ヨーロッパの古い切手なども展示販売を行い、お陰様でご好評をいただいております。

《出展リストをご覧いただけます》
Knowledge Worker 特集ページ「ファッションの文化史」
https://kw.maruzen.co.jp/nfc/featurePage.html?requestUrl=WABP202112/

《お問合せはこちらまでどうぞ》
メール:wabp@maruzen.co.jp

執筆者

まなびのつながり編集部

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