丸善雄松堂

事例紹介

「遊びとまなび」でつながる地域の輪 ―産学官連携による親子ワークショップ運営―

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東京都小金井市

業種
教育・研究機関/官公庁
ニーズ

丸善雄松堂は、国立大学法人東京学芸大学、NPO法人東京学芸大こども未来研究所の三者にて「想像(創造)力を育む「こどものまなび」プログラム開発に向けた共同研究」を進めてきました。その成果をもとに、2024年9月28日(土)から12月23日(月)にかけて、遊びを通じた木育と保護者交流を目的とした、東京都小金井市内の児童館4館を巡回する親子ワークショップを実施しました。当ワークショップの企画・運営は、小金井市より、森林環境譲与税を活用した「令和6年度子ども環境ワークショップ」事業の委託を受けた東京学芸大学、東京学芸大こども未来研究所と共同で担いました。

地域資源を生かした木育プログラム

小金井市では、これまで、河川の環境に触れるフィールドワークや小中学生を対象とした間伐体験など、環境について学ぶさまざまな活動を進めてこられました。その中での新たな試みとして、未就学児とその保護者を主たる対象とした木育ワークショップに、産学官連携で取り組みました。
プログラムでは、小金井市内にキャンパスを構える東京学芸大学で剪定された間伐材を活用し、それらを使って自由に創作活動を行いました。親子で協力して木材同士を結び合わせたり、さまざまな素材を組み合わせて天井まで届くようなツリーハウスをつくったりと、各回それぞれに個性のある活動を展開しました。最後までどのような形になるかわからない、共同制作ならではの面白さにあふれたプログラムは、たいへん好評を博しました。
参加者アンケートには、「なかなか「木」にふれる機会がなかったので良い経験になった」、「普段は使わない自然物をたくさん使って遊ぶことができた」といった言葉もあり、多種多様な木材の肌触りや重たさ、香りを感じ、遊びながら自然と木に親しむ体験を提供することができました。

学生のまなびの場として

当ワークショップの実施にあたっては、事前準備から当日運営まで、東京学芸大学の学生たちが参加しました。大学の先生方からは、「学生たちの実践の場が少ない」、「研究を深めるためには、自分自身のリアルな経験と研究テーマを紐づけて考えるような視点が必要になる」といったお言葉もあり、当ワークショップが学生のリアルな学びの場となることを目指しました。
木育プログラムの企画検討では、学生一人ひとりの体験の振り返りから遊びのアイデアを出し、その後、実際に木を使って遊びながらプログラムを考えました。イベント当日は、学生もスタッフとして参加し、積極的に参加親子とコミュニケーションをとる姿が見られました。学生からは「こどもの自由な発想に驚いた。自分自身のことを振り返るきっかけになった」「こどもたちの反応や行動を見て、自分の研究に取り入れたい新しい視点を得られた」といった、学生だからこその気づきも寄せられ、今回の経験を自身の学びにつなげている様子が見られました。

保護者同士がつながる場づくり

ワークショップ実施に向けた小金井市との協議の中で、保護者が日頃のささいな悩みを共有する機会や、自治体の相談窓口につながるきっかけの不足といった課題が出てきました。そのため、ワークショップでは、木育プログラムだけでなく、保護者同士の交流を促す「保護者座談会」もあわせて行いました。
共同制作的な遊びを通じて保護者の方々の距離が近づき、初対面でも和やかに座談会は進みました。年齢の近い子を持つ保護者同士で話すことで、日頃のささいな悩みや困りごとも口にしやすく、こどもや家庭の話についてリラックスしながら共有・発散できる時間となりました。

地域の人々が“遊び”でつながる

産学官の連携事業として進めてきた今回の親子ワークショップは、学生の参画や大学の間伐材の活用など、地域資源を存分に生かした取り組みとなりました。遊びを通じた木育と保護者交流の実施により、地域の親子、大学生や教員、児童館・自治体の職員など、同じ地域の中でも普段は別々の場所で活躍されている方が集い、共同的に関わる機会をつくることができました。ワークショップでは、大人とこども、親と子、社会人と学生、住民と行政など、日頃の立場を超えて「いいね」「おもしろいね」とお互いの活動を認め合いながら自由に遊び、生き生きと活動する姿がありました。
誰しも日ごろの役割を持ち、人と人との関係性は固定化されがちですが、“遊び”はそれらをゆるめる一つのきっかけになります。このような“遊び”の活動が、地域のつながりの活性化、そして新しい何かが生まれる場となれば幸いです。

「遊びとまなび」のサードプレイスに向けて

当社は、「まなびのつながりを育む」をブランド・プロミスに掲げ、大学や地域のまなびの場づくりを行っています。空間設計等のハード面から、施設運営を担うスタッフの育成・派遣、施設内で実施するまなびのプログラム等の企画・運営といったソフト面まで、総合的に手掛けています。
その一つとして、私たちは「遊びとまなび」のサードプレイスづくりに取り組んでいます。弊社スタッフが図書館や生涯学習施設などの施設運営を担いながら、共同研究で培ったノウハウを活用して、親子のさまざまな活動に継続的に寄り添います。また、「孤育て(こそだて)」の解消に向けて、コミュニティの創出・活性化につながる保護者同士の交流会なども実施しています。

「遊びとまなび」のサードプレイスの実現に向け、産学官連携により地域の力を存分に生かしながら、今後も取り組んでまいります。

*活動の様子を公式SNSで発信しています。
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