丸善雄松堂

事例紹介

まちづくりのパートナーとして、地域の人びとの心に残る「知とまなびのコミュニティ」を創生

  • まなびの場の企画・運営
  • まなびの空間づくり
  • スライド画像1
  • スライド画像2
  • スライド画像3

北陸新幹線敦賀延伸区間の開業を2023年春に控え、福井県敦賀市の敦賀駅西口地区においては現在、にぎわい創出拠点の開発が公民連携で進んでいます。この施設は、ホテルや商業施設、レストランといった新幹線を利用して来訪する人々へ向けた機能を有するだけでなく、敦賀市が750平方メートルを借り上げ、市民の皆様に向けて「知育・啓発」機能を有した場を提供する予定です。

当社と当社子会社である編集工学研究所は、2018年12月の公募に参加し、敦賀市による「知育・啓発施設」の指定管理者候補者・設計監理業者として選定され、施設内の内装設計、指定管理準備業務、供用開始後の管理運営に携わることになりました。施設の開業予定は2022年夏以降の予定で、施工は2021年から始まります。現在(2020年6月時点)はコンセプトデザインを進めています。

書店でも図書館でもない、新たな教育・文化施設

当社がこの「知育・啓発施設」のプロポーザルにて提案したのは、「書店でも図書館でもない、これまでになかった機能・役割を担う新たな教育・文化施設」です。

敦賀市が現在抱える課題と未来に向けてのニーズは、「人口減少・少子高齢化社会における地域を担う次世代の育成」「地域社会と地域経済の活性化」であり、敦賀駅西口の活性化を通じ、まちの持続的な発展と文化の形成を支援することが今回のプロジェクトの根幹となっています。

プロポーサルにおいて、我々は、『人が行き交い 文化を育む港 Place Of Ringing Tsuruga(PORT)』というコンセプトを掲げ、以下の3点について提案を行いました。

1. 地域の未来を担う次世代人材の育成に効く本
情報変化のスピードが加速するこれからの社会では、従来の縦割りの「知」ではなく、より複合的で領域をまたぐ知識や情報が必要と考え、本施設では、そのような「知」との出会いを生み出すために、当社および編集工学研究所がこれまで培ってきたノウハウを元に独自の分類により、利用者の知的好奇心を刺激します。

2. 市民の多様なニーズに応える心地良い居場所づくり
地脈/知脈に深く根差した空間設計や意匠により、小さな子どもから、学生や大人といった多世代が一つのコミュニティとして機能するようなゾーニングや機能開発を行います。

3. 学産官民連携によるまちづくりの推進拠点
大学・企業・行政・市民が一体となって賑わいを創出するための知とまなびのイベントやワークショップの開発・運営を行います。

開業までに、ワークショップで住民の参画意識を高める

これまでに当社は数多くの地域活性化を目的としたプロジェクトに携わり、行政と市民をつなぐファシリテーターのような役割を果たしてきました。今回のプロジェクトにおいても単に施設の受注・発注という立場に留まらず、学産官民にわたる、さまざまなステークホルダーの調整役を担い、図書館や子育て施設といった既存の市の施設とも協力し合い、一緒になって地域を盛り上げるべく運営の準備に取り組んでいます。受託者というよりもパートナー的な立場でまちづくりに参加するのが私たちのスタンスです。

開業まであと2年ありますが、現在は学産官民、つまりは大学・行政・一般市民・地元企業といった立場の異なる人たちとのワークショップやイベントを開催し、「施設がオープンしたら、どのように使っていきたいか」「どのような機能が必要か」というテーマで話し合い、課題の洗い出しを行っています。当社は施設の供用開始後5年間は運営管理を行いますが、その後、施設が持続的に役割を果たしていくには、敦賀市の皆様による主体的な運営が不可欠です。私たちはあくまでも伴走者の立場、皆様が自走していくための準備がこのワークショップなのです。

2019年11月には、敦賀市立看護大学にて学生を対象としたランチミーティングを開催し、貴重な意見を多くいただきました。当社は大学関係とのつながりが深いことが強みの一つですので、今後も福井県内の大学を起点にしながら、地域交流や活性化のための企画を行っていく予定です。

2020年2月には行政の皆様に向けてワークショップを開催しました。「職員として仕事をこなすのではなく、一住民として施設や地域の未来をどう考えていくか」について、ざっくばらんに話し合うことができました。

知的で、地元の文脈に即した空間デザイン

敦賀は、古くから北前船の寄港地や日本とユーラシアを結ぶ結節点としての歴史があります。その歴史を活かし、人が行き交い文化を育む港Place of Ringing Tsuruga(PORT)をコンセプトに、レンガ倉庫や 「港の出入り口」 などのイメージを空間に表現します。また、当社は一級建築士事務所でもあり、空間デザインについても知的で、地域の文脈に根差したデザインを打ち出すことで、市から高い評価をいただきました。例えば、北陸と近畿、日本と大陸の結節点である敦賀市の地域の文脈をふまえ、「つなぐ」「交わる」といったテーマを本のゾーニングに反映させることもアイデアの一つです。

敦賀市には金ヶ崎港があり、ここは北前船の寄港地でした。そこから着想を得て、堅牢な帆船や倉庫のイメージを膨らませた空間デザインを提示しています。また、福井県出身の東洋学者であり漢字研究の第一人者である白川静さんに因んで、施設のサインに古代漢字をモチーフにしたものを使用するなどの提案もしました。こうした着想は、編集工学研究所の最も得意とする「情報編集」です。
子どもたちが利用しやすいような空間づくりにも配慮しますが、それだけではなく、施設内では五感に訴えるような工夫を盛り込んでいきたいと考えています。例えば、鉄道と港の町である敦賀のイメージから、定時を知らせる汽笛を鳴らす、時刻に合わせて室内照明の照度を変えるなど、利用者がワクワクするような仕掛けを考えています。また、施設に隣接して入居する子育て施設の方にもご意見を伺いながら「子どもが楽しめる要素」についても空間に反映させていきます。この街区に集まる施設の垣根を超え、より良い市民のための知的なコミュニティづくりを目指していきたいと思います。

丸善雄松堂だからこそ提供できる知とまなびのコンテンツ

丸善雄松堂では「知とまなびのコミュニティ」の創造をコアバリューとして事業活動を推進しています。私たちは150年間、例えば本や作家、学校など、知とまなびを提供する人や場をサポートしてきました。今後もそのような役割を果たしつつ、これまで培ってきたノウハウやリレーションを活かして、知やまなびを求める人にも直接、知とまなびに触れる機会を提供することを考えています。
例えば、大日本印刷株式会社の体験型複合施設「DNPプラザ」では、月に3〜4回、多彩なテーマのイベントを開催しています。こちらは、さまざまな価値観が出会い、新しい価値を生み出す場づくりを目指して始まったものです。また、埼玉県桶川市のOKEGAWA honプラス+では、施設の賑わいを創出するために、地元の大学や文化施設との連携のもと、さまざまなイベントを開催しています。
今回のプロジェクトでも当社ならではの厚みを持って、知とまなびのコンテンツを提供していきます。

敦賀で暮らす全ての皆様にとって、この「知育・啓発施設」が普段使いの場となること、そして「知とまなびのコミュニティ」の拠点となることを目指し、今後もプロジェクトを進めていきます。将来、「あそこでこんなことしたね」「ああいう場所があってよかったね」と思い出してもらえるような、心に残るコミュニティを作っていけたら、これほど嬉しいことはありません。

事例に関するご質問・ご相談はお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ