丸善雄松堂

事例紹介

兜町再開発ビルのシンボルとなる、お金と暮らしの「できる/わかる」が広がる場「Book Lounge Kable(カブル)」

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渋沢栄一翁が日本初の証券取引所や銀行を興した土地であり、現在では東京証券取引所があるなど、明治以来、日本の金融中心地となってきた日本橋・兜町。その再開発計画の1つとして建設された金融貢献施設「KABUTO ONE」は、金融関連の情報発信や人材育成、投資家と企業の対話・交流促進を図る機能によって“国際金融都市・東京”構想の一翼を担い、地域全体の更なる発展、魅力の向上に貢献することを目指した商業施設です。

その再開発を象徴する施設に、2021年10月に開設されたのが「Book Lounge Kable(カブル)」です。このBook Lounge Kableは、「お金」や「暮らし」にまつわる多くの書籍と、大きな植栽を配した緑あふれる癒しの空間、使い勝手の良いカジュアルレストランを融合させた、新しいブックラウンジとなっています。

国際金融都市・東京を象徴する兜町の新たな『金融貢献施設』

Book Lounge Kableが目指すのは、知的好奇心を刺激する厳選された本を起点に、人々の「できる/わかる」を広げ、街と人の未来を創りだす拠点となること。2004年の株券電子化以降、この街に訪れる金融業界を中心とするビジネスパーソンの数は減少し、また多くの証券会社の本社が移転するなど、経済・金融といったイメージが強かった日本橋兜町という街の様子は大きく変化しました。その再開発に取り組む上では、人を呼び込み、街の活性化を図ることのできる拠点施設の設置というものが求められました。

そんな課題を持つ施設計画に関し、再開発ビルの事業オーナーとなった平和不動産株式会社様は、「日本橋兜町7地区開発計画『金融貢献施設』(3階ライブラリー・ラウンジ、4階ホール・会議室) 運営事業者候補の選定」というプロポーザル・コンペを2019年3月に実施。このコンペに対し、丸善雄松堂は、ホールの運営を担当する株式会社コングレほか1社とジョイントベンチャーを組織して応募し、選定されました。選定理由は、単なる運営事業としてだけでなく、『金融貢献施設』として要求されたライブラリー機能とデザイン性、コンテンツ計画やホールと連携した利用計画なども織り込んだ提案など、トータルな施設運営案が高く評価されたことでした。

気軽に来訪できる“ライフデザイン・ライブラリー”を提供

Book Lounge Kableには、エントランスエリア、水盤エリア、ビジネスエリア、リーディングラウンジ、リラックスエリア、ミーティングルーム、ワークポッドの7つのエリアが配置されています。無料で利用できるエントランスエリアには、おすすめ新刊や主テーマ関連本が配され、それ以外のエリアは1時間880円(平日は550円)の料金を支払うことで、読書のほか電源やWi-Fiを使うビジネス用途での利用も可能となっています。また、このBook Lounge Kableは、ビル4Fに設置されたホール&カンファレンスとの一体運営を行っており、カンファレンスルームとしての貸し切り利用も想定しています。フロア中央に設置した家具書架は可動式で、これらを移動させることで多人数でのカンファレンスやイベント、パーティーでの利用も可能な設計となっています。

インテリアの特徴である植栽は、木製を中心とした家具と調和し、実際に水が流れる水盤から漏れ出る流水の音が心地よいBGMとなって、憩いの雰囲気をより高めています。そして、この施設のもう1つの顔である書籍については、中央部には背の高い書架を置かずに、壁面に高書架を配置することで、施設内の各所から書棚が見えるようにし、施設の一体感を創りだしています。選書のテーマは、「兜町のおかね学」「智恵とことば」「くらしの大福帳」の3種をメインテーマとし、“金融”という堅いイメージではなく、気付きを求める利用者が気軽に来訪できる場となっています。地下鉄駅に直結する“ライフデザイン・ライブラリー”であるBook Lounge Kableは、「おかね」と「ことば」からより良く幸福な生き方を考える場として、憩いとくつろぎを提供しながらターゲット利用者の知的好奇心をくすぐるライブラリーを提案しています。また、ライブラリーですが、この場所に置いてある本は、全て販売可能なもので、気に入った本に出合う事ができれば、その場で購入してお持ち帰りいただけます。

コンセプト立案等の施設企画から、内装設計や本の選書、運営までを一貫して担う

2021年10月の開設以来、Book Lounge Kableには数多くの利用者に利用いただいています。平日は、3F部分のレストランに訪れる利用者が多く、ランチ料金で1時間のラウンジ利用が可能になるため、食事を楽しんだ後に興味のある書籍を手に取る、といった利用スタイルが可能です。また、週末は時間帯を問わずファミリー層での利用が多く、平日と土日休日でまったく異なる利用傾向にある点が特徴です。今後は、夜間の利用者増に向けた施策、幅広い利用者の興味喚起を狙ったイベントの実施などに一層力を入れ、知的好奇心を持つ多くの方々の利用を促すきっかけづくりにも積極的に取り組んでいきます。

Book Lounge Kableの役割は、本のある空間、学びの場をつくり、多様なカテゴリにおいてお客様の学びのきっかけを創りご支援をしていくこと。その施設の運営というサービスを継続させる上で重要な媒体となる「本」に関しても、単に関連書籍を陳列するのではなく、利用者のニーズに合わせたコンセプト立てとテーマ設定を行えるのが丸善雄松堂の強みです。Book Lounge Kableでも、約3000冊規模の幅広い蔵書を、レイアウトや什器の選定も含めたトータルな提案によって利用者の方々に発信しています。選書とイベント企画、運営を三位一体で展開し、本のある空間を継続的に更新できるという特徴が、この施設でも発揮されていると言えるでしょう。

本のある場所、本を読んでくつろいでもらう場所、知的な時間を過ごしてもらう場所をつくる。そのためにはどんな施設が理想的かという構想に対して、企画の段階から実際の施設づくり、設計やインテリアコーディネイト、施設整備工事を行い、またそこでどんな活動が行われるかを想定した書籍のセレクションまでを、丸善雄松堂は担うことができます。ハードの構想からソフトウェアの部分まで、1つの組織としてトータルにプロデュースできるのが、丸善雄松堂のブックラウンジ運営に関する最大の強みです。

Kableの深化・進化によって街の活性化にも寄与したい

開設時には、20~50代のビジネスパーソン、情報発信したい人たちや知的好奇心を刺激したい人たちなど、広めの利用者層がBook Lounge Kableのメインターゲットとなっていました。オープンからの期間を経て、現在では利用者の傾向や動向に関する理解が進み、ターゲットの絞り込みやイベントの施策立案が可能になってきました。今後は事業オーナーである平和不動産とともに、ターゲットをさらに絞り込みつつ施設の深化・進化を進めていくことになります。

兜町という街自体を見ても、さまざまな業種の方々や町会、地元の飲食店が主体となって街おこしに積極的に取り組んでいます。Book Lounge Kable開設時も兜町のグリーンプロジェクトというものがあり、大きな植栽の配置や水盤の導入といった内装の特徴も、そのプロジェクトと連動する形でデザインされました。今後は一層、街と連動し、歩調を合わせた形での展開を進めることで、Book Lounge Kableがどういう役割を果たすかというテーマも意識しながら、今後の運営に力を入れていきます。

今後、コロナ禍が落ち着くとともに、当初予定の利用形態の一つカンファレンス&パーティー利用も増加するでしょう。Book Lounge Kableの選書に触れていただいた皆様からの意見を収集し、またリカレント教育・生涯学習に関するコンテンツの実装も計画していくなど、変化・進化するコンテンツサービスに磨きをかけ、街の活性化に寄与すべく運営していきます。

Kableオフィシャルサイト
Kable[カブル]緑あふれる癒しの空間の新しいブックラウンジ。

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