内田魯庵が編集長に就任して最初に手掛けたのが誌名と表紙の変更,および「19世紀に於ける欧米の大著述に就いての
諸家の答案」(以下「答案」)でした。この「答案」は当時の文化界各方面の読書家70余人(『丸善百年史』)にアン
ケート調査したもので,3回にわたって掲載されました。その結果の一部を以下に示しますが,
「答案」が本誌の洛陽の紙価を著しく高めました。「答案」の趣旨は「19世紀における学術文章の一大壮観にして巨編名
什(注:名著)の称あるもの二酉五車(にゆうごしゃ,注:蔵書の多いことのたとえ)もただならず,道を学ばんとする
ものは万巻の書架に対して却って頼る処を失う,ここにおいて弊社は博洽(はっこう,注:広く種々の学問に通じている
こと)の専門学者に質すに19世紀及びその晩年の大著述を以てして,輯(あつ)めて以て読書社会の針路たらしめんとす」
と記されています。つまり,専門家に推薦図書をあげてほしいということですね。
「答案」の結果のベストファイブは以下の通り。