東海大学湘南キャンパスには、文理融合型総合大学ならではの多様な11学部、大学院が併設されています。東海大学のまなびの中心ともいえる湘南キャンパスにおいて、学生の知を支える中央図書館を大学創成期からある大切な建物内に改修・整備しました。
「Librarium(ライブラリウム)」と称した新たな図書館の在り方をコンセプトに、利用機能に即した4つのエリア(Islands・Ocean・Constellation・Universe)を主軸として構成。利用者が図書館を訪れるたびに、その時々の過ごし方や気分に応じて居場所を選択できる、多様性のある空間構成を実現しました。
東海大学から提示された要望とオープンに向けての取り組み
設計着手から竣工まで約10か月という限られた工期の中で、コンセプトを具現化した図書館の整備を実現する必要がありました。
着手から完成まで、設計、整備予算精査、工事準備、特注家具の製作手配、既製品発注といった工程を、東海大学様と常に共有し、二人三脚で計画を推進しました。
また、事例視察も定期的に実施し、大学創設時からの大切な建物を活かしていく方針を共有することで、新たな図書館の完成にたどり着くことができました。

Librarium(ライブラリウム)外観
撮影:楠瀬友将(ページ内画像 全て同一撮影)
Librarium(ライブラリウム)の特徴
コンセプトと空間構成
「LIBRARIUM(ライブラリウム)」は、“多様な図書・資料との出会いと活用”をテーマに計画された新たな大学図書館であり、電子化時代における中央図書館の新たな役割を担う学びの拠点として整備されています。
特徴的なのは、新築施設ではなく、大学として維持・継承していく伝統ある校舎内に設置されている点にあり、既存建築の価値を活かしながら、現代的な学習環境を融合させた図書館計画となっています。
館内は、1・2階に配置された4つのメイン閲覧室
〇Islands
柱や書架によって緩やかに空間を区切り、多様な居場所を生み出すゾーン。
ミーティングやプレゼンテーションなど、交流と発信の場としても機能する。
〇Ocean
波のうねりを思わせるように書架を配置したゾーン。「グローカル」をコンセプトに、地域性と国際性に富んだ蔵書が並ぶ。
〇Constellation
星雲の誕生をイメージして什器を配置し、学問の知が星座のようにつながる様子を表現したゾーン。主に文系分野の蔵書を配架している。
〇Universe
光や熱量が広がるイメージをもとに、机や書架を放射状に配置したゾーン。理系分野の蔵書を中心に構成されている。
を中心に構成され、それぞれ異なる空間性や滞在スタイルを提供。学生一人ひとりがその時々のまなび方や過ごし方に応じて居場所を自由に選択できる環境を整えています。
さらに、レクチャーゾーンやプレゼンテーションスペースを設けることで、個人学習から協働学習まで幅広い利用形態に対応しています。

Islands

Ocean

Constellation

Univers
書架・インテリア計画
北欧を彷彿とさせる白みを帯びたバーチ材を用いた造作木製書架を計画し、空間全体に温かみと統一感をもたらしています。
また、カラースキームやフォルムにこだわった既製什器を選定しました。
建物の入り口を兼ねるエントランス・ホールには、利用者を圧倒するような高さ約6メートルの壁面書架を設置しています。
各エリアにも、印象的な配置と形態の書架を設け、空間ごとの個性を際立たせています。

エントランス

書架
コンテンツラボの導入
従来の図書館機能に加え、コンテンツ制作・発信機能を備えた「コンテンツラボ 」を併設しています。
主な機能:
・編集・プログラミング・WEBデザインに対応したワークスペース
・クロマキースタジオ
・VR/3Dモデリングスタジオ
・スキャニングルーム など
学生の創造的活動やデジタルコンテンツ活用を支援する環境を整備しています。
このようにLIBRARIUMは、知識を蓄積・閲覧する場としてだけでなく、学び・交流・創造・発信を促進する、新しい時代の大学図書館として計画されています。
学生の創造性を育む「知の交流拠点」への進化と今後の展望
今後は、AI活用や学内外との協働ネットワークの拡充を通じて、知の共創拠点として学生の創造性を育み続ける新たな中央図書館の在り方を目指していきます。
丸善雄松堂は、これからの図書館に求められる役割を、単なる資料を閲覧・保存する場ではなく、人と知、人と人とをつなぎ、新たな価値や学びを創出する“知の交流拠点”であると捉えています。
その実現に向けて、単なる閲覧空間の整備にとどまらず、多様な学びやコミュニケーション、創造的活動を促進する場として機能するよう、空間構成・書架計画・什器選定を一体的に計画しました。
今後も図書館やラーニングコモンズをはじめ、多様な学習空間・交流空間づくりで培った知見を活かし、利用者ニーズに寄り添ったコンセプト形成から空間デザイン、運営を見据えた計画までを総合的に提案・支援していきます。






